団地の隣りはすぐ神社でした。小さい頃は良く境内で遊んだり、夏休みはラジオ体操をしたり、秋には祭りもあって、とても好きな場所です。
氷川神社ですが、私には狐のイメージが強いです。ちゃんと狛犬がいますし、獅子舞を舞う舞台があるんですが。
8歳くらいの頃、春休みのような、ちょっとした休日が続いていた晴れの日の午後でした。2つ下の妹と境内で遊んでいたら、たまたま妹の同級生の女の子と、さらに小さな男の子が一緒に来ました。自然と混ざってどんぐり拾いをしたり葉っぱを集めてみたり探検していました。ひとしきり遊んで同級生のAちゃんが「じゃあね」と言うので、私たちも帰ることにしました。
帰り際に私が妹に「あの男の子は従兄弟なの?あんまりAちゃんには似てなかった」と言うと、妹に「何言ってるの、お姉ちゃん。Aちゃんしかいなかったよ」と言うのです。
不思議な気分でした。今思い返すと、狐につままれた気分が近いかもしれません。怖いという感情はありませんでしたが、自分には視えるけど他の人には視えない存在があるのだと分かりました。
その後から…かどうか記憶は曖昧ですが、神社の近くを通る度に気配を感じるようになりました。そして自転車を割とハイスピードで漕ぐと、大きな狐が並走するようになりました。